ツキノワグマ_但馬地方の山間部で目撃相次ぐ_クマの出没はドングリの豊凶に影響される_兵庫県香美町・新温泉町・兵庫県森林動物研究センター(丹波市)・豊岡農林水産振興事務所

●日本海新聞 2012年07月19日
但馬でクマ目撃相次ぐ 関係機関が注意呼び掛け
http://www.nnn.co.jp/news/120719/20120719004.html
 但馬地方の山間部でツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。今のところ人的被害は報告されていないが、秋を迎えると、集落に餌を求めて出没する危険性がある。関係機関は「集落や農地に寄せ付けないことが大切。餌になる柿の木や生ごみを管理して」と注意を呼び掛けている。 
 兵庫県香美町によると、本年度の目撃件数は7月17日現在で46件と、昨年度の70件に迫る勢い。農林水産課の担当者は「高いペースで増えている。町内放送で注意喚起をしている」と住民の安全確保に努める。
 新温泉町には17日現在で19件の目撃情報が寄せられている。昨年度は28件が報告され、6月には同町の上山高原で渓流釣りをしていた男性がクマに襲われ、頭部に切り傷を負った。


 クマの出没はドングリの豊凶に影響されるという。兵庫県森林動物研究センター(丹波市)によると、ドングリは1年周期で豊凶を繰り返すとされ、凶作になると、クマが秋以降に集落や麓に出没する可能性が高まる。
 ドングリが全国的に凶作だった2010年度には目撃情報が増加。香美町で307件、新温泉町で142件に上ったが、11年度は比較的少なかった。
 こうしたことから、同センターの森林動物専門員の稲葉一明さん(53)は
「現時点で豊凶の状況は分からないが、たくさん出没する可能性がある」
とみている。

 クマの被害を防ぐには、集落に寄せ付けない環境づくりが重要だ。同センターはポイントとして、生ごみを屋外に置かない▽クマの好物の柿やクリは早めに収穫するか、電気柵で守る▽家や通路周辺のやぶを刈り取り、クマが山から出にくくする-などを挙げる。

 豊岡農林水産振興事務所は昨年度から、防護柵設置などに取り組む集落に対策費を助成している。本年度は香美町小代区茅野など4集落に5万円を補助。同事務所の担当者は「クマを寄せ付けない集落づくりのきっかけにしてほしい。『ここの集落は餌場ではない』と認識させることが大事」と話している。