鳥取県・境港市・米子市・中国電力「島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定」_早期締結・立地自治体並み・国の原子力防災対策見直し

●毎日新聞 2012年11月07日
震災を考える:/8 原発安全協定の見直し 「いざ」の強制力に高い壁 /鳥取
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20121107ddlk31040583000c.html
 ◇県、境港市、米子市 中国電「立地自治体と遜色ない」
 昨年12月に県と境港、米子両市と中国電力の4者が締結した「島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定」。いわゆる原子力安全協定の内容について、立地自治体並みを求めて自治体側が改定に動き出した。先月31日に、防災対策の重点区域が緊急防護措置区域(UPZ)の30キロ圏に拡大されたことを受け、平井伸治知事と中村勝治・境港市長、野坂康夫・米子市長は翌1日、中国電本社(広島市)を訪れ、改定を申し入れた。来年3月までに見直す地域防災計画に反映させる必要があるため、自治体側はできる限り早期に結論を出したい意向。一方で、周辺自治体で立地並みの権限を手に入れた地域は全国に例が無く、交渉は一筋縄ではいきそうにない。【田中将隆】
 ◇背景
 現行の協定は、従来の防災対策重点地域(EPZ、8〜10キロ)の圏外では全国で初めて結ばれた。全21条の中には「協定の改定」の項目も盛り込まれている。
 協定締結に当たり、平井知事と両市長は「まず一日も早く協定を締結して一定の地位を有する」ことを優先。「内容の充実」よりも「早期締結」を優先することに、境港、米子両市議会などでは「立地自治体並みの協定を求めるべきだ」など、疑問の声が上がった。こうした声に一定の配慮を示そうと、盛り込んだのが「国の原子力防災対策見直し」と時期を明示した改定の条項だった。現行の協定は、当初から改定を前提とした「暫定的な」協定だったと言える。
 また、改定は協定の実効性を担保する意味も持つ。安全協定は、あくまで「もしも」の時のために結ばれている面が強い。そのため、協定が実質的に効力を発揮したケースは、今年1月に島根原発2号機の計測器が動作しなくなった際に、県が現地確認をした1件のみ。増設や輸送計画の事前報告というケースは、これまで皆無という。
 現地確認の際は「(立地自治体と)同じような対応をいただけた」(県原子力安全対策室長)としているものの、適用例が少ないこともあり、現行の協定で有事の際に立地自治体と運用面でどれだけの差がつくのかは、はっきりしないのが実情だ。