●日本海新聞 2012年08月02日
倉吉生活は3人の”宝物” 福島に帰郷の家族
http://www.nnn.co.jp/news/120802/20120802008.html
東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、福島県南相馬市から倉吉市内に避難した佐藤真理さん(33)と茅音(かやね)さん(7)、詩芭(うたは)ちゃん(5)の親子3人が、今月中旬に帰郷する。故郷から遠く離れた見知らぬ地での避難生活は多くの不安を抱えて始まったが、佐藤さんは「倉吉で過ごした日々は家族の“宝物”」と感謝の気持ちでいっぱいだ。
倉吉での避難生活を終え、福島県内で新たなスタートを切ることにした佐藤さんと茅音さん(中)、詩芭ちゃん(右)
佐藤さんは昨年3月18日に家族、親戚十数人で倉吉に避難。大震災の被災者が鳥取県内に身を寄せたのは佐藤さんらが初めてだった。
母親と親戚は2カ月後に帰郷したが、佐藤さんは放射能による子どもの健康被害を懸念して倉吉にとどまることを選択。その後は臨時職員として倉吉市役所に勤務していた。
「親せきや友人、友人の子どもが遺体で発見された連絡の毎日で、悲しい事ばかりだった」と当時を振り返る佐藤さん。しかし、職場や住民の支えで落ち着きを取り戻し、娘2人は倉吉弁を上手に話せるほど学校、地域に溶け込んだ。
「3・11」から1年5カ月。悩んだ末に帰郷を決断。7月31日付で倉吉市役所を退職した。
ただ、
除染作業が進んでいない南相馬市ではなく、いわき市で新生活を始める。
石田耕太郎倉吉市長の励ましを受けた佐藤さんは「被災者に目を向けていただいた倉吉市民の優しさに支えられた」と話し、“第二の故郷”の思い出として親子3人で倉吉絣(がすり)の浴衣をそろえることにしている。
鳥取県によると、同震災で県内に避難している人は85世帯192人(7月23日現在)。