鳴き砂の秘密「砂粒の大きさによって実際の音が決まるようだ」_鳥取県で有名な場所:井手ヶ浜・青谷浜(鳥取市青谷町)石脇海岸(東伯郡湯梨浜町)

●National Geographic News November 2, 2012
砂丘で聞こえる“鳴き砂”の秘密に迫る
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121101002&expand#title
 中国で砂の音を聞いたマルコ・ポーロは、悪霊が発していると考えたという。チリ北部のコピアポに住む人々は、砂丘から聞こえるその音を「El Bramador(捻るもの、吠えるもの)」と呼んだ。
 現在では、この音は「鳴き砂」と呼ばれている。砂粒が砂丘の斜面を流れる際に、うなるような音が数キロ先までこだまする現象である。場合によっては一度に複数の音程(周波数)が聞こえる場合もあるが、その仕組みや、砂丘によって音が異なる理由もいまだに解明されていないという。
 だが、パリ・ディドロ(第7)大学の3人の生物物理学者チームが、その一端を解明した。研究によると、詳細はまだ判明していないものの、音程を左右するのは砂の動きだけではなく、砂粒の大きさも重要な役割を果たしていることがわかったという。
 同チームはモロッコとオマーンの砂丘で、それぞれの鳴き砂の音を分析。その結果、モロッコでは105ヘルツ(Hz)の音が、オマーンでは90~150ヘルツ(Hz)の9音が含まれていることがわかった。
 さらにチームは、モロッコの砂を50キロ、オマーンの砂100キロを研究室に持ち帰った。「音を調べるためには相当な量が必要だった」と、研究チームを率いるシモン・ダゴワ・ボーイ(Simon Dagois-Bohy)氏は話す。

◆砂丘の砂の流れを再現
 研究室内で砂の流れを小規模で再現し、砂流の速度、深さ、砂粒を解析した。すると音程が1つのモロッコの砂粒は、直径160ミクロン(100万分の1メートル)程度でほとんど同じ大きさだが、複数音のオマーンの砂粒は150~300ミクロンの間でばらつきがあった。
 200~250ミクロンに選り分けた場合は、音程が1つになったという。「砂粒の大きさによって実際の音が決まるようだ」とダゴワ・ボーイ氏は結論付けている。
 研究チームは、砂丘の斜面を砂が流れる際に砂粒同士がぶつかって混ざり、一定の衝突の流れが生まれると推測している。大きな砂粒はゆっくり動き、小さな砂粒は速く動く。
 それぞれの衝突が生む音はきわめて小さく、聞き取ることはできない。しかし特定の条件下では、「無数に重なり合って鳴き砂の音を生む」と共同研究者のステファン・ドゥアディ(Stephane Douady)氏は語った。現在、チームはその正確な条件を突き止めようと研究を続けているという。
 今回の研究結果は、「Geophysical Research Letters」誌オンライン版に10月26日付けで掲載されている。

鳥取県で有名な砂の上を歩くと鳴る砂があるのは・・・

井手ヶ浜(鳥取県鳥取市青谷町)
青谷浜(鳥取県鳥取市青谷町)
石脇海岸(鳥取県東伯郡湯梨浜町)